前回、実際に購入して試してみたAmazon Dash Buttonですが、非常におもしろい商品なのでビジネス面でも勝手に考えてみました。
弊社主観による見解を記載している為、偏った考え方も含まれており、興味のない方は読み飛ばしてください。
※以降、Amazon Dash Buttonを略してダッシュボタンと呼びます。
人の購買行動に即した素晴らしいマーケティング戦略
→このダッシュボタンで購入できる商品を見ていると、普段よく使う日用品ばかりです。
こういった低価格の日用品(消費財)の場合は、熟慮して購入検討されることは少なく、「よく見かける商品だから」とか「安いから」といった理由で購買行動が決定することが多いです。
また、
人が一番購入意欲が高まるのは、正にその商品がなくて困る瞬間
です。
今回の私の例でいうと、ミネラルウオーターのブランドに対してこだわりはなく、その時々で安いものを購入していますが、どこのブランドも価格に大差がないことは知っています。
そんな私が、普段ミネラルウォーターを保管している付近にある冷蔵庫にこのボタンを設置しました。
すると、このミネラルウオーターがなくなる正にその瞬間に、目の前にこのダッシュボタンが存在することになり、対してこだわりがなく、今すぐ欲しいと思っている状態なので、たぶんこのボタンを押してしまうと思います。
(ボタンを押すのが大好きですし、押したくなるようなボタンデザインにもなっています…)
この時点で比較するという行為が行わせることなく購買行動へ誘導できます。
日用品(消費財)は切替のハードルが低い分、メーカーからするとファンを作る難しさは十分に理解しているでしょうし、このダッシュボタンはAmazonだけでなくメーカーにとってもありがたい存在なんだろうなと想像しています。
対メーカー(仕入先)に対しても広告費等が取れる仕組み
→日用品メーカーからすると、商品自体が低価格で切替を許しやすい製品であることと、「良く見るから」という理由でも購買が決定してしまう可能性がある為、日ごろから非常に多くの広告費がかかっています。
このダッシュボタンは先ほど説明した通り、利用者に比較させることなく同じ商品をリピートさせやすいという仕組みになっている為、日用品メーカーからすると魅力的なサービスでしょう。
一方で、今のところこの仕組みがこれほど定着しているのはAmazonのサービスしか無い為、必然的にメーカー側もAmazonに頼むしかありません。
少し調べてみたところ、ダッシュボタンに自社商品のラインナップを並べてもらうには、メーカー側からAmazonに費用を払っているようですので、Amazonからするともしかすると言い値で取引できているのかもしれません。
また、このダッシュボタンですが、前回は寿命が使い方によっては何十年にもなると言いましたが、1年前後で使えなくなるという情報も出ています。
そうすると、これも前回書きましたが、ダッシュボタンの寿命のタイミングで利用者はメーカーを切り替えるかもしれないというリスクが生まれます。
それが、メーカー側を恐れさせる要因となり、またそこでAmazon側に収益を得られる機会を作っているのかなと想像しています。
考えれば考えるほど、よくできた仕組みですね。
最も分かり易いIoT活用事例
→IoTは"Internet of Things"の略でモノのインターネットと訳されたりもします。その訳の通り「モノ」をインターネットを介して活用しようという意味です。
例えば
バスの位置情報をGPS等で管理し、バス停ではあと何分でバスが到着するかをリアルタイムに表示させたり、時計型の装置に様々なセンサを仕込んでおき、付けている人の状態を遠隔で監視し、もしも転倒した場合は自動的に通報されたり、なんていう活用がされています。
インターネットが十二分に普及したからこそ、新しいアイデアでより生活を豊かにしようと様々なアイデアが出てきており、このIoTを自社でも活用できないかという事でよく相談を受けます。
ただ、多くの場合はIoTという言葉だけをご存知の方が多く、公開されている活用例などが高度な内容であることも多い為、最初の説明に困ります。
そんな中、このダッシュボタンは非常にイメージ湧きやすく、良い活用方法だと思います。
見た目はシンプルなボタンという"モノ"。
このボタンを押すだけで自動的に"インターネットを介して"指定した商品の発注が行われます。
IoTが何かよく分からないけどとにかく取り入れたいとお考えの方は、まずはこのダッシュボタンを購入して使ってみることをおススメします。
また最近ではこのダッシュボタンはカスタマイズできるようになっている為、とにかくIoTを試してみたい方はこのダッシュボタンを使って見るのも良いかもしれません。
※但し、そもそもIoTを試すという表現が間違っており、何か現在困り事があり、それを解決する手段がIoTですので、まずは自身がどんな課題を持っているのかを明確にしましょう。