今年の3月~5月にかけて公募されていた日本商工会議所の「平成29年度補正予算小規模事業者持続化補助金」に弊社も応募しました。
ここでは弊社が行った補助金作成時のポイントについてご紹介します。
補助金で採択される為にやるべき10か条
ポイント1
何よりまずやるべきことは「公募要領」に目を通すことです。
年間を通して様々な補助金の募集がされていますが、目的は様々です。
目的が異なるのであれば、採点基準も異なります。 そして、その採点基準は公募要領に明記されているのです。つまり、公募要領には答えが書いてあるわけです。公簿要領の"記載例"だけしか見ない方もいらっしゃるのではないでしょうか? 記載例も重要ですが、特に見ておくべきは
です。ここに記載されている内容は回答時に網羅できるよう心がけましょう。詳しい資料はこちらをご覧ください
ポイント2
次に実際の申請書式にざっと目を通します。 そして、とにかく箇条書きで良いので、アピールポイントを書き出していきます。
この時点では申請書のどこに記載するかや、文章の体裁までは考えなくてOKです。手書きでも良いので、思いつく限り書き出しておきましょう。
ポイント3
アピールポイントの書き出しが終われば、改めて申請書式をみながら、どこにどのアピールポイントを配置するかを決めていきます。
この時大事になってくるのがストーリー性です。申請書式の並び順に読んでいって違和感のないように配置します。
弊社の場合のストーリーは下記のようになりました。
起これまでの事業を状況から、弊社の強みはBtoB向けの営業支援。 更なる事業拡大に向け、顧客との接点を増やせる「頼みやすいサービス」の追加が必要。
承新規開拓を目的としてWebやSNSの活用に期待する企業は多い。一方で、投資が膨らむ為 1社では負担しきれずに結果に結びつかないケースが大半を占める。 転各社から少額の費用を集め、弊社がWebを用いた集客用のポータルを運用。 問い合わせを得れば各社に振り分ける。 結この事業を成立させる為に、先行して集客用ポータルを作り上げたい。 ポータル制作費+集客の為のコンテンツの作り込みを先行して行う。また、FAX-DMや電話営業にて地道な販路開拓も行う。これを申請書式の並びにそって落とし込み、更にアピールポイントも各所に入れ込んでいきます。
ポイント4
ここからは実際の申請書を作成する際のポイント(テクニック)になります。 大事なのは「審査する人の立場で考えること」です。
毎年補助金の申請件数は増え続けています。すると、1件の審査にかけられる時間も限られます。その為、如何に審査する人が見易い作りにするか、が重要です。
内容を直感的に理解してもらう為に、よく「タイトルが全て」等と言われますが、タイトルだけで決まる訳ではありません。(もちろん、タイトルは非常に重要ではあります)
多くの方は、公簿要領に記載あれている「記載例」を参考に、申請書を作成されると思います。
「記載例」を見ると、各大項目毎に文章がとりとめもなく記載されており、これを見て同じように記載する方も多いと思います。
ですが、これだと確かに必要事項は記載されていますが、読み辛く感じないでしょうか?
そこで、あえてフォントサイズを変えて「見出し」をつけ、段落分けをしてみます。
下記をみて、どちらが分かりやすいでしょうか?
↑小規模事業者持続化補助金の公募要領より抜粋
引用元:http://h29.jizokukahojokin.info/files/1915/3369/7739/29.pdf
一部ぼかしている為見辛いと思いますが、見出しをつけて段落分けして記載した方が、伝えたいポイントを直感的に理解してもらいやすくなります。
申請書作成時には是非意識してみてください。
ポイント5
ポイント4に引き続き、申請書を読みやすくする為のポイントがもう一つあります。
それは「図や表」をうまく使うことです。
「記載例」を見ると、文章ばかりで説明しているケースが多いですが、何も文章しか使ってはいけない訳ではありません。
先ほども言った取り、審査する側は限られた時間しかなく、如何に直感的に内容を伝えられるかが重要です。その為には、文章よりも図などの方が分かりやすい場合が多いです。
弊社で申請書を作成する場合は、ほぼ全ての項目を図表で記載し、文章は補足程度になるよう心がけています。
究極、1枚の画で全てを説明するくらいのつもりで作成してみましょう。
ポイント6
「補助金が取れればやろう」という気持ちで申請書を作成される方もいらっしゃるかもしれませんが、その気持ちは書面に出ないよう注意してください。
補助金が取れなくてもやる覚悟の有無は、審査する人へ与える印象を大きく左右する場合があります。その為にも、申請する事業に対し、既に自分がどんな取組みを行ってきたのかを記載するようにしましょう。
例えば新製品を開発する為に補助金を利用する場合は、既にプロトタイプの作成やテストマーケティングは完了しており、設計図(レシピ)は出来て上がっている。
ということを明示しておくことが重要です。
それにより、補助金採択の結果にかかわらず、事業を進めていく意志があることを暗に証明しましょう。
ポイント7
ポイント6にも関係してきますが「補助金が採択されなくてもやりきる覚悟」と合わせ、「事業の見通しが具体的に立っている」ことの証明も重要です。
その場合に大事になってくるのが「実績」です。
これまでの実績もそうですが、今後事業が開始されれば顧客になってくれるところも上げましょう。特にここでは出来るだけ生々しく具体性を出す為に、顧客情報を包み隠さず出します。顧客名や所在地、会社のロゴがある場合はそれを載せさせてもらうなどしましょう。
また、申請書自体は一般に公開されることが無く、審査する人から顧客へ記載内容の裏を取る為に連絡があったという話は聞いたことがありません。その為、適当な企業名を書いても嘘を見抜かれる可能性は低いと思われます。
それでも、必ず申請書に社名を使わせてもらう場合は顧客へ一声かけて、やましいことはしないようにしましょう。
ポイント8
申請書を作る際には自身が想定する事業の見通しの根拠を示すことが重要です。
ここで、「私は~と考える」という自身の主張だけでは弱い場合があります。
仮にその仮説が正しかったとしても、それを十分検証するだけの時間が審査員側にない為、客観的に見ても問題ない裏付けが重要となってきます。
そこで、「統計データ」が有効です。
大まかには「公的な機関が調査したもの」「自身が調査したもの」に大別されます。「公的な機関が調査したもの」はインターネットや図書館に行くと、様々な統計データがあります。
例えば下記図は中小企業におけるWebやSNS活用の有用性を証明するべく、
2016年度版中小企業白書内の一つのグラフを提示しています。
引用元:2016年度版中小企業白書
これを出すことにより、相手に対して”否定し辛い”効果が生まれます。
補助金を運営しているのは公的機関であることが多い為、自身が発信しているデータを裏付けとして出すことで、事業自体を否定し辛いものにできます。また、同じ統計データでも「自身が調査したもの」を出す事で、
そこまで調べた = やりきる覚悟を示す
ことに繋がりますので、こちらも盛り込めるなら盛り込むべきです。
ポイント9
申請書が粗方完成したら、次に重要になってくるのが「補助対象経費」です。
せっかくここまででストーリー性がある事業の仮説を描き、根拠も揃え、必ずやりきる意志を示しても、肝心の用途に関しての説明と根拠が不十分だと全て台無しになります。
例えば、弊社では今回FAX-DM費用とテレアポ費用を補助対象経費として申請しました。
この時になぜそれが必要なのかや費用(=件数)の根拠を具体的に示しましょう。
上述した通り、下記の図をつけて説明しました。
○件の受注を得る為には何をどれだけやる必要があるかの仮説を立て、それを実行する為に今回補助金を活用したいという考えを明示しましょう。
また、経費額の根拠として、できれば先に見積書を入手して申請書に添付しましょう。
ポイント10
そして最後に重要になってくるのが「売上計画」です。
自身の事業を魅力的に見せる為に、ここで壮大な夢物語を語る方もいます。
3か年の売上計画で、毎年成長率が1,000%!なんて、素晴らしいことですが実際にはなかなか実現できるものではありません。
もちろん、事業を行う上で目標を高く持つことは良いことですし否定しませんが、補助金の申請書を書く際にはより確実で現実的な売上計画の方が好まれます。
極論、初年度は投資分を回収できないくらいでも構いません。
誰が見ても「これなら確実に実現できそうだ」と思ってもらえることを意識して作成してみましょう。
但し、根拠が十分示せるのであればこの限りではありません。
その場合は積極的に大きな目標を提示してもOKです。